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秋 の田 の かりほ の庵 の とまをあらみわが衣出 は 露 にぬれつつ
天智天皇
現代語訳
秋の田んぼのすみある仮小屋は、草を編んで作った粗い造りなので、そこで番をする私の着物のそでは夜露にぬれていくばかりです。
超訳(現代風語訳)
収穫前にショボイ小屋で徹夜番をするのはきつい。つらい。しんどい。
解説
この歌の季節は秋。当時、収穫をひかえた秋になると、農民は田んぼのすみに質素な小屋を作り、夜の間はそのなかで稲を鳥や動物に荒らされないよう、徹夜で田んぼを守るため番をしました。
この歌の農民は、秋の夜にひとりきりで小屋にこもって朝が来るのを待っており、寒い夜に苦労して田んぼを守る姿が表現されています。
裏話
この歌は、百人一首のなかで唯一農民の姿を詠んだものです。作者の天智天皇は、農民が仕事にいそしむ姿を想像し、つらい農民に共感してこの歌を詠んだといわれていますが…
実は、この歌はもともと、奈良時代末期にできた日本最初の歌集「