02 春過はるすぎて 夏来なつきにけらし 白妙しろたえ衣ほすてふちょう あま香具山かぐやま 持統天皇じとうてんのう

現代語訳

春が過ぎて、夏が来てしまったようです。昔から夏に白い衣を干すをいわれている天の香具山に、真っ白な着物が干されています。

超訳(現代風語訳)

あー夏が来たぁ♪チョイト白いころも胸に、くーるbaby~♪(TUBE あー夏休み)

解説

この歌は爽やかな夏の青空のもと、緑の山に白い衣が干してある風景を詠った歌です。

天の香具山では、かつて夏になると白い衣を干す習慣がありました。作者の持統天皇はその様子を目にして夏の訪れを感じ、あぁ夏が来たんだわと胸を弾ませたのかもしれません。

裏話

この歌をみると、香具山は洗濯物干し場なのかな…?と思ってしまいそうですが、香具山は当時の人にとっては神聖なお山でした。

香具山は、奈良県橿原市かしはらしにある山で、その昔、天から降りてできた山だという伝説があります。そのため「天の香具山」と呼ぶようになったとか。

白妙の衣とは、天の香具山に仕えていた巫女が着ていた服なのではないか、もしくは神様に捧げる祈りの儀式に使われた布ではないか…という説があり、どちらにしても、神聖な印象があります。

夏の緑の山に映える白い衣をイメージすると、干される白い衣はより清々しく感じます。

持統天皇じとうてんのう(645~702)

天智天皇てんじてんのうの娘。夫の天武天皇てんむてんのう、子の皇太子・草壁皇子くさかべのみこが亡くなられたのち、第41代天皇に即位しました。

史上4人目の女性天皇であり、父(天智天皇)と夫(天武天皇)のかねてよりの悲願だった、法律で国家を統治する「律令政治りつしょうせいじ」の基礎を作りました。

また、香具山、畝傍山うねびやま耳梨山みみなしやま大和三山やまとさんざんに囲まれた眺めの良いところに藤原京を開きました。