column掛詞とは「だじゃれ」のようなもの

掛詞かけことばとは

掛詞かけことばとは、ひとつの言葉でふたつ以上の意味を示す方法です。これは言葉遊びの一種で、現在でいう「だじゃれ」のようなもの。

掛詞には歌の意味や内容に奥行きを与えて、表現の幅を広げる効果があります。

掛詞の例

例えば、小倉百人一首には、掛詞が使われた歌がよく登場します。

掛詞を使った歌として有名な9番小野小町おののこまちが詠った歌をみてみましょう。

はないろは うつりにけりな いたらに 身世みよにふる ながめせしまに」

この歌は、春の雨に打たれる桜を眺めながら詠んだ歌で、美しい花が色あせる様子と自身の容姿が衰える様子を表現した歌です。

この歌には掛詞は2つあります。

ひとつめは「ふる」。

「ふる」には、「(雨が)降る」と「(時を)る」の2つの意味が。

ふたつめは「ながめ」。

「ながめ」には、「長雨ながあめ」と「眺め」の2つの意味があり、さらに「眺め」という意味のなかに、「見る」と「物思いにふける」という意味も含まれています。

そして掛詞ではないですが、「花の色」には、「女性の容姿」と「桜の花」と、2つの意味が込められています。

この歌は、まさに掛詞によって、歌の意味や内容をさに深く表現している一首といえます。