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わたの原 八十島 かけて 漕 ぎ出 でぬと人 にはつげよ あまの釣 り舟
参議篁
現代語訳
大海原にはたくさんの島々が浮かんでいます。私は
超訳(現代風語訳)
ちょっと島流しされてくる。…べ、別に心細くなんてないんだからッ。
解説
この歌は、作者の
篁は遣唐使(留学生)のひとりに任命され、二度、中国の唐に向かいましたが、二度とも船が壊れて日本に戻ることに。三度目に唐へ渡ることを命じられたとき、篁は船にあてがわれたのは破損した船。これに怒った篁は船に乗らなかったため、
処罰を受けて都を離れ、見知らぬ土地に向かうのですから、篁はさぞ心細かったことでしょう。しかし、この歌ではさみしさやつらさを強調せず、むしろ「私は元気に船出していくよ」という気骨ある気持ちでこの歌を作りました。
ちなみに「わたの原」とは大海原のことです。「八十」とは数の多いことを指す表現で「八十島」はたくさんの島々という意味になります。
裏話
三度目に唐へ渡ることを命じられたとき、篁は船にあてがわれたのは破損した船でした。破損した船があてがわれたのは、その裏に政界の駆け引きもあったのでしょう。
隠岐の島へ島流しとなった篁はその後どうなったかというと、島流しになった2年後、許されて都へ帰ります。そしてその後は順調に出世して、参議(閣僚クラス)にまで進みました。
参議篁 (802~852)
本名は